2007.10.19 Friday
タイ旅行6日目(1)
↑帰ってきた"Twenty Four inn Hotel"。これで十分だ。さすが地元人・従兄が最初に選択してくれたホテルは、料金・内容ともに僕に適切であることを知る。
アユタヤに行こう!
せっかくバンコクまで来たのだから、ここから二時間程度で行ける、世界遺産にもなっているアユタヤに行かねばならないという使命感は、帰国日が刻々と迫るにつれ強まっていた。
そこで昨夜、いつものバーの女の子たちに、アユタヤについて訊いたら、長距離バスに乗って行けるけど、あいにく今はアユタヤは洪水であちこちが浸水していて、見て回れないとニュースでやっていると言う。
しかし、行けるところまで行くのだ! 行くことに意義がある!
でも・・・どうやって???
従兄からもらったガイドブックは古くてBTSが乗っていないし、昨日古本屋で買った"るるぶ"には、悠長に船で行く方法しか書いていない。
そこで、とにかく最寄りのBTS駅まで行って窓口で
「How do I get to Ayutthaya?」
と尋ねた。訊くは一瞬の恥、訊かぬは一生の恥。
英語が通じる女性駅員は、
「今から行くの? 本当は朝早くから行くのがいいんだけど」と前置いてから、
「とにかくBTSの終点まで行きなさい。それから・・・」
あとは聞き取り不能。よし、とにかくBTSの終点まで行くのだ。
30分ほどでBTSの終点に着き、また駅の窓口に行き、同じ質問を投げかける。すると、
「駅から出て、バスかタクシーに乗って、大きなバス・ステーションに行って・・・」
あとは聞き取り不能。
僕の英語力が低いこともあるが、彼らの英語だって発音が悪いのだ!ということにして駅を出る。
バス停にたくさん人が並んでいる。英語が話せそうな人を探す。
よし、あの女学生二人組に訊いてみよう。
「Do you speak English?」
「Yes, little」
よし! アユタヤにはどう行ったらいいですか?
「ええと・・・」
二人の女学生は顔を見合わせて、ああでもない、こうでもないと、もめ始めた。要するに英語は話せても、アユタヤへの行き方をよく知らないのだ。
長い会議の末(?)、道路の向こう側のバス停に行きなさいという結論が出た。
礼を言ってBTSの階段を上り下りして反対側のバス停に。本当にアユタヤまで今日中に行けるんかいな?
バスなんて正直乗り方がよくわからない。日本でもあまり乗らないのに。
そこで、タクシーを止める。
「アユタヤに行きたいんだけど、どっかからバス乗るんでしょ?」
「☆◇△×〇・・・」
タイ語だ。とにかく
「アユタヤ! バス・ステーション!」
これで通じた。
10分ほどタクシーに乗っていると大きなバスターミナルで下ろされた。
インフォメーション・カウンターで訊いたり、窓口で訊いたりしながら、なんとかチケットを買い、アユタヤ行きのバス乗り場にたどり着く。
バンコク市内を出るとウィルコムが通じなくなる。従兄に伝えておこうと電話すると、偶然彼も今日は仕事でアユタヤに行くという。彼の仕事が終わる17時にこちらから彼の携帯に公衆電話から電話すると約束した。
ひどく乗り心地の悪いメルセデス製のバスに揺られながら一時間半、バスは終点のアユタヤらしき場所で止まったので降りた。
降りてすぐ、あやしげなおっさんが英語で寄ってきた。
「私は警察から許可をもらっている運転手だ。どこに行きたいんだ?」
どこと言われても名称など分からないので、有名な横になっている仏様の格好をしてみせる。
「ああ、あそこか。50バーツ(175円)で連れて行くよ」
本当かなあ。でもとにかく安い。他にアテもないし土地勘もない。
とりあえず、お願いすることにして、タクシーでも何でもない、普通のホンダ・シビックセダンに乗る。あやしい。
クルマを走らせながら、おっさんはしきりに許可証を見せながら、
「オレはもともとトゥク・トゥクの運転手だったんだ。だけど、このクルマのほうが便利だから、いまはこのクルマで案内している。500バーツ(1750円)でアユタヤの名所を回るがどうだ?」
と言いながら、名所が写ったポスト・カードを次々に見せる。
そうきたか。でも金額的には悪い話ではない。なにしろこちらも来る時間が遅かったし、従兄と待ち合わせもあるし、効率的にこの広い世界遺産を回る必要がある。確かにトゥク・トゥクよりも早いし快適だ。
「とにかく寝釈迦仏まで連れて行ってよ。話はそれからだ」
こっちも以前にいんちきタクシーで関係ない場所に連れて行かれた経験があるから、慎重になっている。
するとまもなく約束どおり、寝釈迦仏に着いた。うん、約束は守る男らしい。
「OK、じゃ決めよう。僕は今日は17時にタイ人の友達とアユタヤのどこかで待ち合わせをしている。だからあまり時間がない。」
"タイ人の友達"というのは、このおっさんがこっちを身寄りのない観光客だと甘く見て、いい加減なことができないようにするためのブラフである。
「だから、見せてくれたポスト・カードの場所、すべてまわる必要はない。だから300バーツ(1050円)でどうだ?」
「よし、じゃあ間をとって400バーツ(1400円)でどうだ?」
「いや、この寝釈迦仏以外は、(ポスト・カードを指しながら)こことここだけでいいんだ」
「プリーズ! あんたにとって400バーツは決して高くないはずだ」
なんだか自分の父親くらいの歳のおっさんが一生懸命に頼むものだから、400バーツで商談成立した。
商談成立記念に撮ったのがこの一枚。
つづく